一足飛びにはいかない

 写真は水性洗浄方法の一つブロッティング法(吸取法)によって、吸取紙に流れ出た本紙の汚れが徐々に少なくなっていく(左上から時計回り)様子です。この後、本紙に対しては脱酸性化処置を行って紙中の酸を中和し、アルカリ物質を紙に留めることによって将来的な酸の発生を抑制させたり、損傷部分の繕いを行ったりします。さらに、本の場合には再び綴じられるように折丁背の補強等を行った後、綴じ直し、花布編み、表紙付け、革を貼り込んで…と再び本のかたちに仕上げていきます。

 このような感じで一歩ずつ確実に段階を踏んで進めていくのが私どもの仕事で、決して一足飛びにいくようなものではありません。