細密画(ミニアチュール)を描く
以前、製作工程をご紹介したパーチメント(チュー皮紙)に細密画(ミニアチュール)を描いた記録です。
【製作工程】
1.パーチメントの表面を磨く
1)コウイカの石灰質の甲:軽石:ダンマル樹脂=4:8:2の割合で混ぜて研磨剤を作る。
2)研磨剤を使って磨く。
※羊皮紙の毛側どうしで磨き、表面がテカテカになるまで行う。
2.図案を写す
1)図案の裏側を鉛筆で塗りつぶしてカーボン紙のようにして、上からなぞって転写する。
※カーボン紙では顔料がのり難くなるため
図案を転写する 図案転写後
3.箔押し部分に石膏を盛る
1)石膏をつくる
(1)colla pergamena(パーチメントから作った膠)と硫酸カルシウムを混ぜる
①硫酸カルシウムをふるいにかける
②湯煎したcolla pergamenaに硫酸カルシウムを入れていきかき混ぜる。
(2)石膏を箔押しする場所に盛る
(3)石膏を整形する
colla-pergamenaに硫酸カルシウムを混ぜる 石膏完成 石膏を盛る 石膏をメスで整形
4.ボーロ(箔下砥の粉)を塗る
1)ボーロをつくる
(1)ボーロと魚膠と水を混ぜてつくる(テンペラ画の方法)
①魚膠:水=1:50で混ぜる
②ボーロを牛乳くらいの固さになるまで入れる。
※細密画本来の方法は、卵白にボーロを混ぜて粘度が適当になるまで混ぜる。
2)ボーロを石膏の上に塗る
※何度も塗り重ねて、石膏が見えないようにする
3)ボーロをメノウで磨く
※表面を平滑にして箔押しをしやすくする。
ボーロと魚膠を混ぜる ボーロの完成 ボーロを塗る ボーロの塗布後 ボーロをメノウで磨く ボーロ磨き後
5.箔押し
1)ボーロの中の魚膠を水で溶解させて金箔を載せていく
2)刷毛で余分な金箔を払い落とす
箔押し 箔押し後
6.顔料を練る
1)顔料と同量の卵白を入れる
※卵白は卵黄に比してページをめくった時に割れにくい
2)顔料を練る
顔料に卵白投入 顔料を練る
7.彩色
1)何度も塗り重ねることで発色を良くする
2)ランプブラックで縁取りして完成
彩色① 彩色② 縁取り 細密画完成