保革油を塗る
保革油使用の効果・目的を他にあげますと次のようになります。
①革の外観と摩擦への抵抗力の向上
②柔軟性の向上
③酸化・虫害・カビなどの防止
しかし、どんな革装本にも闇雲に塗布すればよいのではありません。以下に使用上の注意点をあげます。
①革の劣化が進行している場合は目立たない部分で塗布試験を行い、十分な乾燥後に問題がないことを確認してから使用する。劣化した革は極端な黒変や硬化によるひび割れを起こすことがある。
②塗布部分は表紙革の表面・表紙の厚み部分のみで、本の中身に接する部分には塗布しない。
③塗布後は十分(半日程度)に乾燥させる。
④塗布量が多すぎる(または頻繁に塗布する)と、ラノリンの酸化などにより逆に革の劣化を招いたり、革の表面がべたついて埃を寄せ付けやすくなってしまう。