【タイトル】Le musée secret de la caricature
【刊行年】1888年
【刊行地】パリ
【処置前の状態】
①表裏の表紙が分離
②綴じ糸の切断
③背表紙の部分欠損
【処置方針】
仮綴じ本とは、文字通り仮の姿で購入者によって好みの製本を行うものですが、本資料の場合は刊行から130年以上経った現在でも刊行当時の姿をほぼ留めていることにこそ大きな価値があると考え(今後再製本される可能性はほぼゼロである)、その貴重な姿を将来的にも担保できる保存修復処置を目指します。
また、本資料はアンカットであるため小口をナイフで開けないと読むことが難しい状態ですが、敢えてアンカットの状態のままとします。それは、写本のように唯一無二の存在でもない限り、多くの部数を印刷する近代印刷本であれば、他機関で所蔵している場合もあり、テキスト自体を読むことは十分に可能と判断したためです。仮表紙のような余計なものを取り付けてしまうくらいなら保存容器に収納するだけの方が良いでしょう。
【主な処置内容】
①ドライクリーニング
②背表紙を表打ちで保護した上で解体し、背固めの膠を除去
③綴じ穴を補強後にオリジナルと同様に綴じ直し
④新規背表紙を和紙で作成して貼り込み
⑤元背の貼り戻し