背紙=クータ?
書物研究家で南葵音楽文庫にも勤務していた庄司淺水が著した『書籍装釘の歷史と實際』(1929年)を読んでいると、背紙=クータの記述が見られました。
文中の用語解説では、「クータ…表紙の背紙を言ふので、我が國では大抵地券紙の百听位を使つて居りますが、外國では多くマニラボールの類を使用します。」と、また別の部分でも「背の厚さだけの背紙を切り、それに適宜に擬帯をつけます。背紙は通常八オンス位の板紙が使用されて居りますが、出来る事なら一應ロールに通してから使つた方がよいと思ひます。」とあり、どう読んでも背表紙の芯紙としか理解できず、とっても良く知っている紙を筒状にした所謂ひとつのあの「クータ」を表してはいないことが分かりました。
となると、クータの語源が「空袋(くうたい)」であるとかないとかという説がいつ頃出てきたものなのか?庄司本以前の話なのか?以後の話なのか?… もう少し調べてみた方がよさそうです。
ちなみに、弊社のブログにてクータのことを掲載しています。
2015年5月25日掲載「クータの有効性について考える」