小口をとんとん!

 前回に続いて『書籍装釘の歷史と實際』(1929年)からの連投となりますが、今回は第十七章「書物の保存と取扱ひ方」の第一節「書物に及ぼす有害なる力」に「読書十禁」として次のような項目があげられています。

一、日光に直射させるな

二、火にかざして読むな

三、枕にして寝るな

四、頭垢を落すな

五、手に唾をつけて繰るな

六、紙小口を折るな

七、開いた上で物を食べるな

八、湿気のあるものの上に置くな

九、小口をとんと突くな下向きに置くな

十、書架に曲げて立てるな

といった具合で、そんなことしないよ!というような内容ばかりなのではありますが、その中でも注目するのは「九、小口をとんと突くな下向きに置くな」で、本を閉じた後に地小口を無意識に「とんとん!)」と突く人が少なからずいます。これは貴重書であっても無意識に行っている人がいたりすることが厄介な点で、それを見越して地小口の補強も修復処置に含めるように求められることもあります。ただ、修復処置は必要最小限に留めることが原則とされていますし、この事象は利用者教育の徹底によって防げるものだということはお伝えするのですが、なかなか言いづらい偉い利用者もおられるようで。。。