【早稲田大学戸山図書館】「絵本の黄金時代 ~木口木版の時代~」展(11/26-12/7)

 早稲田大学戸山図書館にて「絵本の黄金時代 ~木口木版の時代~」展が昨日より開催されています。会期は12/7まで。

 18世紀のイギリスで行商人が売り歩いた安価なポケット本はChap bookと呼ばれ、大衆の人気を博しましたが、その中には子ども向けのおとぎ話や民話もあり、モノクロの挿絵が添えられていました。イギリスの児童文学はここから出発した、とも言われています。
 紙も印刷も粗雑だったChap bookの時代を経て、近代絵本の幕が開いたのは1860年頃のことです。庶民の経済力が向上し、教育への関心が高まったことなどから、子どもによい本を与えようという、社会的な機運が高まっていました。
 彫版師であり、印刷、企画にも携わったエドマンド・エヴァンズ(Edmund Evans, 1826-1905)は、浮世絵の重ね刷りからヒントを得て、木口木版による多色刷りの技術を開発し、クレイン(Walter Crane, 1845-1915)、コールデコット(Randolph Caldecott, 1846 – 1886)、グリーナウェイ(Kate Greenaway, 1846-1901)といった画家とともに、繊細な色彩の美しい絵本を世に送り出しました。
 木口木版の多色刷り絵本は一時代を画しましたが、20世紀初頭には、三色分解によるカラー印刷の技術が実用化されました。水彩の原画の微妙な色彩が再現可能になると、手彫りの精緻な木口木版に代わり、時代はオフセット印刷へと移り変わっていきます。
 今回の展示では、近代絵本の幕開けを担った作家たちの作品を、戸山図書館の館蔵品によって展観します。(公式サイトから)