【タイトル】Novum organum scientiarum
【刊行年】1645年
【処置前の状態】
①背固め(膠)が強すぎることで開閉時に負荷がかかり、背革に亀裂や欠損等が生じている。また、花布も中央部分で切断され、地のみがかろうじて半分だけ残存している。
②ジョイント部の補強材がほとんどなかったため、支持体の切断で表紙ボードと中身が分離している。同時に見返しもノド元より切断している。
【処置方針】
背の柔軟性を確保し、綴じ・背表紙に負荷のかかるフレキシブルバックからホローバックへの構造変換を外観上の変更を最小限に止めて行う。
【主な処置内容】
①背表紙を取り外し、背固め(膠)を除去
②新たな麻糸で支持体を接ぎ足し、背固め用和紙を貼付
③花布の編み直し
背表紙の取り外し 支持体を接ぐ 花布の編み直し
④表紙ボードと中身の再接続
⑤クータ(hollow tube)を作成して背に取り付け
⑥背表紙芯紙(AFプロテクトH)の取り付け
⑦新規背表紙/角革用の仔牛革を染色し、革漉きを行って貼り込んだ
⑧元背の貼り戻し
⑨保存容器を製作して収納
背表紙芯紙の取り付け 新規背革の貼り込み 元背の貼り戻し
【処置後の状態】
おもて表紙 うら表紙 背表紙