表装革、綴じの状態が健全な資料に対して行い、構造の損傷・劣化のみを和紙で直す方法です。ただし、和紙は突傷には弱いため、その優れた特長を最大限に発揮させるために弊社では主に隠れた部分での使用に限定しています。

【処置内容】
①外側ヒンジ:表装革に合わせてアクリル絵具で染色した楮紙を喰い裂き(当然毛先は揃えます)した後、背表紙から革を持ち上げた平のボードにかけて貼り込む。
②内側ヒンジ:見返し紙の色に合わせてアクリル絵具で染色した楮紙を喰い裂きにし、持ち上げた効き紙の内側からノド元にかけて貼り込む。
③外側ヒンジに最終的な補彩とSC6000を塗布することで和紙の物理的な補強と違和感のない外観に仕上げる。
 ※表装革の質感によってその後保革油を塗布する場合もある。

1)『The History of Religion』 1694年、ロンドン 総革装とじつけ製本、背バンド綴じ

2)『M. Tullii Ciceronis Opera, Tomus Primus』 1783年 総革装とじつけ製本、かがり綴じ